熊本市で軽貨物配送を行っている、合同会社宮村トランスポートの宮村拓也です。
配送、と聞くと大手の「クロネコヤマト」などを思い浮かべるかもしれませんが、実は私たちのような小さな会社や個人事業主が「業務委託」として業務の一部を担っています。
今は商品の定期便やふるさと納税、ネットスーパーなどのサービスや制度が発達し、配送物の量は年々右肩上がり。
しかし、配送ドライバーは人手不足や高齢化などの問題を抱えており、業界全体で猫の手も借りたい状態です。
個人で行う配送サービスと言えばフードデリバリーの「Uber Eats」が有名ですね。こちらでも配達員は業務委託として働いています。
その配達員経験がある方から、配送ドライバーが業務委託として働くとどうなるのか、についてご質問をいただきました。
フードデリバリーは空いた時間に働ける手軽さがありますが、配送を専業に業務委託で働くとなると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
また、デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
今回は、配送ドライバーが業務委託で働く場合のメリット・デメリットについて、私なりに紹介したいと思います。
もしこのような働き方をお考えでしたら、参考にしてみてくださいね。
■業務委託とは個人で働くこと
まず、業務委託という形態についてご紹介したいと思います。
業務委託とは、平たくいうと「個人事業主」を指します。
企業などから仕事をもらい、その成果や稼働時間に応じて報酬が支払われる形式です。
先のフードデリバリーを例にすると、フードを届けた件数が多いほど収入が多くなる、というのが分かりやすいでしょうか。
また、自分で働き方を決められるのも特徴です。
普通のサラリーマンとして働く人は、会社の提示するノルマの遂行や辞令に従わないといけませんが、個人事業主だとそのような縛りがありません。
配送以外でこのような業態で働く人だと、フリーライターやコンサルタント、弁護士などがあげられるでしょう。
■業務委託のドライバーとして働くメリット
配送ドライバーといっても「業務委託」だけでなく、企業の正社員や契約社員として働く道もあります。
仕事内容はいっしょですが、「業務委託」にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
・人間関係のしがらみがない
正社員や契約社員は会社と雇用関係を結びます。
そのため嫌いな仕事や、時にはギスギスした環境に耐えなければならないこともあるでしょう。
転職サイトdodaが2021~2022年に調査したところによると、転職理由の中で「社内の雰囲気が悪い」が3位、「人間関係が悪い」が7位とありました。職場の環境が少なからず働き方に影響している様子がうかがえます。
業務委託は上司や部下といった関係もなく、意見の対立や事前の根回しといったしがらみがありません。
そのため、人の顔を伺いながらの仕事が苦手な方には、働きやすい形態かもしれません。
参考元:doda「転職理由ランキング【最新版】 みんなの本音を調査!」>>
・働きに応じて収入が増える
業務委託は成果や時間に応じて報酬が支払われるので、配達した荷物が多ければその分、報酬が増えます。
体力に自信があり、年末などの繁忙期にあたれば、高い収入を得ることもできるでしょう。
社員として働くと、固定給というメリットはあるものの、いつもより多く配達しても給料は変わりません。
昇給する機会も少ないので、何年働いても同じ給料、ということもざらです。
・未経験でも普通免許があれば大丈夫
個人事業主なのでさまざまな届け出は必要ですが、普通免許と軽バンがあれば始められます。
タクシーや運転代行などのお客様を乗せるサービスは、安全上二種免許の取得が必須ですが、配送ドライバーには必要ありません。社員として働くなら、トラックを運転する中型・大型自動車免許の取得を会社が命じることもあるでしょう。
現在はグーグルのナビアプリなども充実しており、道が分からない場所でも、問題なく配送できるようになりました。
そのため参入障壁が低く、外国人の配送ドライバーも増えている傾向にあります。
■デメリットはある?
業務委託のドライバーになるデメリットには何があるでしょうか。
・経費がかかる
個人事業主のため、業務を行うためにかかる経費がネックになりやすいでしょう。
車を例にすると、車検や自動車保険・自動車税・燃料費・駐車場代などを、報酬から支払わなければなりません。
もちろん、リースの場合は負担が少なくなるかもしれませんが、期間が長いと費用も高くなるでしょう。
ほかにも会計や帳簿に必要なパソコンや筆記用具などが、業務上必要になります。
また、事故が起きても会社が助けてくれることはないので、任意保険に入って自分を守らなければいけません。
自動車保険のほかに労災保険や運送保険などに加入しないと続けるのが難しいので、万一の備えとはいえこちらにも費用が割かれるでしょう。
・確定申告が必要
個人事業主には確定申告が必要です。
経費が大きく出ていってしまうので、確定申告をすれば払い過ぎた税金が戻ってくるメリットがあり、しない手はありません。
2020年以降は専業だと48万円以上の所得、副業だと20万円以上の所得が、確定申告が必要なラインです。
しないままでは、無申告加算税や延滞税が発生するので、領収書などはしっかりと管理しましょう。
費用はかかりますが、税理士さんに丸投げすることもできます。
・肉体労働できつく感じることも
配達は肉体労働のため、体力がないときつく感じることもあるでしょう。
たいていは軽貨物といっても重さの範囲が広く、運ぶのもぎりぎりという荷物を持って階段を上る必要性も出てきます。
また、車だと移動中エアコンは効いていますが、真夏や真冬は厳しい環境になります。繁忙期もこの時期に集中しているので、休憩時間を取るのも厳しくなるかもしれません。
■今後の運送業界について
ブラックと呼称されることの多い運送業界のため、始めてみようにも二の足を踏んでいる方もいるかもしれません。
しかし、現在は労働環境を改善する動きが高まってきているため、今後はさまざまな人が参入してくるのではないか、という見通しもあります。
今後の運送業界はどうなるのでしょうか。
・2024年問題とは
近年、働き方改革によって長時間労働などの見直しが進んでいます。
運送業界も例外ではなく、2024年度には自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間までに制限されることに。お急ぎ便といった便利なサービスがなくなるのではないか、とされています。
大手運送会社でもさばける荷物の量が限られ、今までどおりの配送は難しくなる、というのが2024年問題です。
需要が大きいため、今後はさらに業務委託のドライバーが増えるのではないか、という予測が立てられています。
・ドローンやロボットによる配送も
まだ試験の段階にありますが、ドローンやロボットによる配送サービスが浸透すれば、荷物問題が解決するかもしれないと言われています。
佐川急便では、2025年にドローンによる配送サービスの実用化を目指す取り組みが進行中です。
ドローンでの配送は交通網が麻痺したり渋滞が起こったりしても、遅延することなく短時間で配達できるなど、数々のメリットがあります。
ただ、ドローンが積載できる荷物の重さは5kg前後なので、重い物に関しては変わらず人の手が必要でしょう。
参考元:佐川急便「2025年、ドローンによる配送サービスの実用化を目指す」>>
・フリーランス保護法が成立
個人事業主と企業は対等の立場だという前提がありますが、事実上個人事業主側のほうが力関係として弱く、また労働基準法が適用されないことから、トラブルなどで守られにくい部分がありました。
そのような事情により、個人事業主を守るための「フリーランス保護法」が2023年に成立し、2024年秋までには施行される予定です。
個人事業主に仕事を委託する企業には、書類による契約などの義務、違反した場合は行政処分といった対処が行われるようになります。
このことから、業務委託の配送ドライバーも安心して働けるようになるのではないか、という見通しがあります。
■合同会社宮村トランスポートでは、九州にて配送パートナーを募集中
合同会社宮村トランスポートは、熊本市を拠点に軽貨物配送を行っている会社です。
弊社では現在、パートナーとして配送ドライバーを募集しております。
業務内容としては、宅配業務・定期配送・買い物商品配達・美容室等の資材の定期配達などです。
車の持ち込みもOKで、配送車のリースもあるので、普通免許があれば未経験でも構いません。
女性のドライバーも活躍しており、体力に自信がありましたらぜひご応募くださいませ。
ご応募の際は、事前に求人情報に目を通していただけますと幸いです。
■まとめ
業務委託で働く場合は、個人事業主になるため、今まで会社に雇われて働いていた方には戸惑うことも多いでしょう。
今後は働きやすい環境などが整備されていく可能性が高く、また、不況の煽りを受けて仕事がなくなることは考えにくいです。
もし配送ドライバーをお考えでしたら、業務委託も考えてみてはいかがでしょうか。